サプライズ・サプライズ


映画女優が自宅の前で刺された…


1989年の4月のある夜、渋谷アピアのステージで“東京ジャンバラヤ”が歌っていた「救いようのないバラッド」。内容は映画女優が狂信的なファンに刺され、殺され、現行犯で捕まり、世論は犯人を二度と社会に出すなと言っている…そして主人公である歌い手さえも

俺もそう思う…


と言う。しかし、続けて


でも君に対する俺の想いは…

三角定規を君と俺に当てて剃刀で線を引きたい…


“東京ジャンバラヤ”とは、俺が人前で歌う最初となった、あるイベントで知り合い、格好良かったので、この日、観に来たのだ。しかし、なんか濃い雰囲気のあるライブハウスだ。「出てみりゃ良いじゃん」とジャンバラヤに言われて、オーナーらしき人に聴いてみた。

「今度、オーディションがあるので2曲用意して来なさい。」と言われた。それまでライブハウスといえば、友人が企画したライブにしか出たことがないので、オーディションってのが、本格的な感じだ。

そして、オーディションの5月6日(土)が来た。この日は公開オーディションでお客さんも入れるということ。いくらなんでもまさか、お客さんなんか入るかなと思っていたが、オーディション受検者の他に、なぜか1組のカップルがいた。何か、凄え!

俺の番が来て天皇崩御で描いた「X-day」と、とある事情で彼女になれなかった女の子と最後のセックスをした次の日の朝の別れのシーンを描いた「日曜の朝の公園」を歌った。緊張しなかった。歌い終わった後、オーナーであるマスター“伊東哲男”さんに一人づつ呼ばれ、合格か不合格か言われる。俺は先ず「君は歌もギターも下手だし(『ですね…笑』)、顔も悪いし(『そうでもないぜ…笑』)、歌詞も下品で陳腐だし(『わざとです…笑』)、良いとこ無いね」と言われたが、その後「ちゃんと練習するなら合格にしてあげるから」と言われた。まあ、とりあえず受かったわけだ。

そして、それから一週間くらいで初出演の日が決まった。6月28日(水)だ。とりあえず、ちょっと注目される歌を描こうと思って、当時話題になっていた今田勇子事件をモチーフに勝手に創りあげた冷血な犯人の立場で歌ってみた。これがデビュー曲である「放火魔」だ。友達に声を掛け、40人くらい集めた。さすがに初ライブは緊張したが、「放火魔」が思惑通り受けてくれて良かったぜ。それから、毎月出演することになるのだが、2回目以降はお客さんはほぼいなくなっていた(笑)。

確か4、5回目の出演の時だったと思うが、現在、厨房のあるところが楽屋だったのだが、そこで椅子に座ってステージ準備をしていると、九州からツアーで来たという共演者が話しかけて来る。こっちは出待ちで集中しようとしてるのに、ウザイやつだ。それが現“高円寺ALONE”店長である“井上博之”だ。まあ、今では同い年で、デビューも同じ年だし、良い奴だと知ってるので、仲が良いが、当時、俺はニューミュージック野郎が大っ嫌いだった(本当は今でもだが…笑)ので、ロッカー風に対応しといた。その後、博之はアピアで歌うことを決め、PAスタッフとしても働くことになったのも仲良くなるきっかけだった。「ほろよいおばちゃん」、「プロポーズ」、「転身ブルース」は彼の名曲だ。一応、言っといてやるぜ(笑)。

未だに博之に言われる事件がある。1991年の6月15日(土)のステージで、俺はその頃、“トム・ウエイツ”の『ビッグタイム』や、友人の女の子から借りた“アリス・クーパー”のビデオに影響され、演劇的なステージを演りたいと思って、ステージから客席に煙幕の花火を2個ばかし投げた。煙幕の中で歌って、戦場の雰囲気を出したかったのだが、思った以上に凄い煙で、火災報知器が鳴り出してしまった。で、ライブは途中中断。ドアを全部開けて、スタッフの博之やマスターは近隣の人に謝っていたそうだ(ごめんなさい)。で、煙が収まって再開すると、俺はもう一個用意していたパフォーマンスを始めた。キューピー人形を持って「放火魔」をアカペラで歌い、最後に人形の首をカッターで切ると血糊が飛び出すという仕掛け。で、その飛び散った血糊がモニタースピーカーに点いてしまった。リハでもスタッフに何も言わず、本当にサプライズでやってしまい、終わった後、マスターにかなり怒られた。壊れていたら百万円以上もする機材を弁償させるとまで言われました(そりゃ当たり前だ)。すみませんでした。まあ、その後のライブでもモデルガン持ってカラオケで歌ったりしましたが、その反省を元に、火災報知機は二度と鳴らすことはなかった(笑)。しかし、サプライズが好きな性格は未だに変わらず、新曲は大抵リハでは演らず、本番で初披露だ。サプライズな空気にするためには、お客さんだけじゃなく、スタッフもと思ってしまう。


最近、昔の音源のカセットテープを聴いていたりして、過去を振り返ったりしてるのだが、頑張ってんなあ、俺と思ってしまった。別にノスタルジーに浸るつもりはないのだが…。いやあ、しかし昔は良くなかった。今でも良くないけど…。良くないから頑張るんだな、これが…。今までのライブ・アーカイブをCDとしてお届け出来ればと思い、DAW勉強しながら、頑張ってるぜ。


あっ、そうだ!忘れるとこだったぜ。

宣伝があります。

俺もアピアデビュー20周年ということで


「力 night ― 俺 Vs 俺 ―」

浦邉力=u渋谷アピア」デビュー20周年記念&CD発売記念ライブ

5月5日(火) 開場 17:30 開演 18:00 終了 22:30予定 チケット料金:2500円+ドリンク

出演:浦邉力、ORA、The Good Generation(ヴォーカル&ギター:全部“浦邉力”)

総合プロデュース:浦邉力


43曲以上歌う、3時間30分〜4時間のステージです。パンク、エモコア、グランジ、ブルーズ、ハードロック、フォーク、ロケンロー等々、多彩なサウンドでお届けするぜ(^o^)V!

夜露死苦!

ORA


“ORA”

左より、ドラム:土やとしお、アコースティック・ギター&ヴォーカル:浦邉力


The Good Generation


“The Good Generation”

左より、ベース&シャウト:kayoji、ドラム&コーラス:伊藤孝悦、エレクトリック・ギター&ヴォーカル:浦邉力


浦邉力ソロ


“浦邉力”

アコースティック・ギター&エレクトリック・ギター&ピアノ&ヴォーカル

浦邉力ソロ


新宿の“つるかめ食堂”で夜中飯を食ってたところ、カメラマンに声を掛けられた。月刊プレイボーイ1991年2月号でストリート・ミュージシャン特集に掲載された写真だが、その頁の写真とキャプションが上下間違っていて、俺のコメントとパンクスのコメントが入れ替わっています(笑)。ちなみに同号には当時、無名だった“シャロン・ストーン”のヌードが掲載されてます。



この文章は渋谷アピア発行のacoustic magajine「あたふた」2009.3月 Vol.144号に掲載されたものです。

俺 Vs 俺
I am ロック製造機(^o^)V!
ロックが世界を変える日は昨日より近づいてる気がする(映画「GLASTONBURY」)
「フジロックにお帰り!」「ただいま!」(10周年“フジロック・フェスティバル’06”レポート)
ロックンロール・トゥナイト(2005年フジロック観戦記)
“ハチコー”前で待ち合わせなんて何年ぶりだろう?