“ハチコー”前で待ち合わせなんて何年ぶりだろう?


“シブコー”の前の噴水やオブジェや植物を囲っているコンクリには溢れんばかりの女の子や男の子、オジサン、オバサンが腰掛け、ビールや缶酎ハイを飲み、煙草を吸ったり、友達と話したりしながら今夜のバンドの開演を楽しみに待っている。
なぜなら開場はもうしているけれど、“シブコー”は21世紀になっても未だにアルコールの持ち込み不可どころか、中でも販売していない。
おまけに多分最近のことだろうが、健康増進法だかなんかで会場内のロビーでも灰皿は撤廃され、全面禁煙になってしまっていた。
まあシブヤクの公共施設だし、お役所仕事なんだろう。
またきっと不健康が増進されるだけだろう。
ピンク・黒
僕らはビールの500ml缶を飲み干し、持ち物検査を通って、入場。
さて午後6時30分の開演時間をあまり遅らせずにバンドは出て来た。
ワアーッ…ウォーッ…歓声!歓声!歓声!
このバンドが間違いなく良いのは始まる前から分かっているけれど、やっぱり良い。
バンドのヴォーカルはもう40を越えているのに相変わらず細くて、昔からやっている彼独特の激しいケイレンの動きをしながら歌う。
ギターももう40半ばだけど相変わらずで、昔から頭に何かを巻いているのが好きで、コードを鳴らすたびに手を挙げ、コーラスの部分をヴォーカルと一緒に叫ぶ。
そしてこれでもか、これでもかというような素敵なロックンロールのオンパレード。皆、興奮!女の子は跳ねている。
男の子は立ち尽くしている。
オジサン、オバサンは腰を揺らしている。
気がつくと妊婦もノッてる。
もっともっといっぱい皆で楽しみたい…。
ああ、何だか相変わらずのこの“シブコー”の座席が足に当たって邪魔だ。
昔、ヴォーカルとギターの2人は現在と違うバンドをやっていて、それはとても凄い現象になってしまった。
僕も大好きだったが、あまりにも異常すぎる宗教みたいな現象だったので今思うとちょっと可哀想な感じだった。
ラストアルバムでの2人の歌はあまりにも痛々しかった。
その後そのバンドにスパっとサヨナラをして、まるで別方向のようなこのバンドを結成してもう10年近くなる。
で、今、ライブを聴きながら思ったのだが、彼らの言いたいことや、やりたいことは初めのあのバンドから変わってない気がした。
本当に好きなことを他の誰かのいいようにされたくないからこのバンドなのだとあらためて勝手に思った。 アンコールの最後の曲が終わるとドラムとベースが先にステージを離れた。
残ったヴォーカルはギターに手を差し出し楽しそうに仲良く手をつないでステージから消えた。
とても強い友情に見えた。
ピンク・白 コンサートの帰りがけに女の子が言った。
「ロックが好きで良かったね」と。
彼女が働いている職場の大半の人たちはロックを理解していないという。
こんなにドキドキ、ワクワクして、泣いたり、笑ったり、怒りをぶつけてくれたり、励ましてくれたり、ちょっと勇気を与えてくれたりするのに…。
「今日はどんなにお金持ちになったり、どっかで有名になるより得した気分だね」と彼女は言った。


この文章は渋谷アピア発行のacoustic magajine「あたふた」2004.9月 Vol.90号に掲載されたものです。

追伸:最近、渋谷公会堂≠フ前を通ったら、改装工事中だった。音が良くて、座席が楽なのはもちろんだけど、喫煙所とバーが欲しいな。

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