野球場

背の高い草が風に波打って流れている
子どもの頃その隣に野球場があったんだ
太陽の下で乾いた土に汗を染み込ませ休みの前に夏の約束をした
建築現場に忍び込みコーラの壜を拾い集め新品のボールを3ダースも買った
今じゃ整備されたグラウンドもあるけれどフェンスもベンチもない野球場があったんだ

プロの選手の真似が一番うまい奴が皆を笑わせたホームグラウンドで…
ユニフォームなんか誰一人持ってなかったけれどウチらのチームはどこよりも強かった
15年振りのこの町へ君を連れてきたけれど見せたかった景色は残っちゃいなかった
夕暮れに光るガラス張りの美術館の建っているその場所に野球場があったんだ

暗かった森は切り開かれて公園になって不自然な並木の向こうにマンションの灯り
お化け鉄塔がただ一つだけ昔のままに残った丘に君の手を引き登った
舗装道路は伸び続け今も何かが変っていく
変らぬものなどないと分かっているけれど…
大切なことをいつか忘れてしまわないように小さな体を抱き誓いの言葉を見つけた
空を見上げた君が初めて目にする流れ星が大きくアーチを描いた…