太陽はいらない

場面は卒業式の中学校
惜別に泣いたり団結する卒業生
最初は彼女もふざけたりしたがその光景が続くと醒めてきた
酔いしれている友人に彼女は水さす言葉を刺した
友人はちょっと嫌な顔をして彼女を殺す言葉を撃った
仲間がより仲間ぶる時の彼女の居心地は悪くなる
期待通りを求められると期待外れになりたくなるのだ…

街のシーンはわざとらしくてグリコのおまけのフィギュアみたいだ
ビジネススーツもコンビニ弁当も男も女もママゴトみたいだ
ユーロビートが彼女は嫌いだ
B’Zもコブクロも大嫌い
インディーズはもっとひどい
メジャーを薄めたモノマネばかり
世界に彼女の居場所はなかった
自分がおかしいとも考えた
哀し過ぎるアイディアもちょっと思ったこともある

あれから5年経っていた
彼女は一人暮らししてた
バイト先の子たちとは未だに話が合わない

月に1回 渋谷の駅の近くの狭い路地をギターを持って
40年経つ扉を開ける
彼女はそこで歌ってた
観客が少ない夜もステージはいつも緊張させた
何の余裕もなく彼女は必死で歌うだけ

「自分のことを歌ってるみたい」と恥ずかしそうに声をかけてきた少女に
彼女の反応は素っ気なかったが生きてる感じがちょっとだけしてた…

その夜 アパートへの帰り道
景色がいつもと違く思えた
彼女は閃いたフレーズを弾んだ声で口ずさんでた…

今 太陽はいらない
有り余った陳腐な光が無闇矢鱈に暗闇を照らしすぎる