満月
一晩中眠れずに空を見上げて頭の中から不安を消すことが出来ず
いったい何を気にしているのかさえも知ることは出来なかった
鳥たちの声が朝を告げる
目に映るものはいつもと変わりなく
たった一度も心は揺れぬまま日が暮れて疲れていた
残酷に過ぎていく時の中で砂金のようなそれを見つけたい
今夜
満月が照らしているあの川に掬いに行こう
「心のままに」と歌を唄った
心のままに生きたいと誰もが願うけど
心の底に何も見えない時は心のままに生きられはしない
自分の顔を鏡に映してみてどこも変わっていなかったけれど
まだ見たことのない新しい自分の顔に会いたかった
あとどれくらい続いても驚き続けていたいから
今夜
野良犬が鳴いているあの森の奥へ…
ここしばらく雨が降っていない
寝転ぶ野原も喉を嗄らしている
生き抜くことだけ考えて夢の欠片さえ忘れそうな
曝されていく俺の底に確かなものがまだあるだろうか?
今夜
満月が照らしているあの川に掬いに行こう
あの川に掬いに行こう